翼型上に生じる層流剥離泡の挙動により翼型の特性は大きく左右される。航空機翼型の著しい翼型性能の変化を回避することを目的に、これまでに多くの研究が行われてきた。受動制御としては前縁slatやvortex generatorなどの古典的な装置を用いた方法が、能動制御としては境界層内への吹き出しなどが挙げられる。しかし両者ともに境界層の剥離制御を意図しているものであり、層流剥離泡を直接制御対象とした方法ではない。本研究では、境界層ではなく層流剥離泡自体の挙動の制御を行うことを目的とする。 本研究では、翼面上に生じている層流剥離泡内に微小な大きさのスマートストラクチャ制御素子等の制御機構を設置する。この作用によって、翼型上の層流剥離泡の制御を効率的に行うことを試みる。そのために、スマートストラクチャ制御素子等を翼型上に設置し、素子制御用の電子回路機構を作り上げると共に、レーザー流速計を用いた流れ場の測定を行い、剥離泡制御に最適な効果が得られる条件を調べていく予定である。 本年度は研究の初年度であるため、実験の準備段階として、以下の点を行った。・翼型模型を用いた風洞実験の準備を行った。・風洞実験に用いる翼型模型の準備を行った。・データ計測装置の準備ならびに、データ処理用PC装置の準備を行った。・剥離泡制御機構の検討と予備実験にもちいる制御素子機構の準備を行った。・予備的な作業として実験による剥離泡制御の確認を行った。
|