研究概要 |
研究期間内で「根でのRNAサイレンシング活性が低減する原因」を解析する予定である。まず,第一にトランスジーンやウイルスに対するサイレンシング活性が根で低いという現象は、どの程度まで一般化できるか検討した。次に,トランスジーンやウイルスでは,根でsiRNAというキープレーヤーの蓄積量が低かったことから,その産生に関与するDCL群などの宿主因子を中心に,アラビドプシスの葉と根での発現パターンを解析した。 1.[ウイルスの宿主根系への移行,蓄積とそのRNAサイレンシングの影響] 根における各種ウイルスの動態と蓄積を解析した。その結果、土壌伝染性のウイルスは根での蓄積量が葉より高いという結果を得た。また、根で機能するサプレッサーを有すると示唆するデータを得た。 2.[ウイルスの混合感染によるサイレンシングサプレッサーの影響] 2本鎖の蓄積量を指標とした新たな簡便なサプレッサー活性測定法を開発し、混合感染によるサプレッサー活性の同定を行った。 3.[ウイルスのサイレンシングサプレッサー遺伝子の発現植物の作出] BNYVV p14をPVXベクターを用いてN benthamiana根で発現した。2で開発した手法を用いてBNYVV P14が葉でも、根でもサプレッサーとして機能する事を明らかにした。 4.[アラビドプシスの根におけるRNAサイレンシング活性とウイルス抵抗性の評価]GFP遣伝子に対しサイレンシングを発動しているアラビドプシスのサイレシングレベルを葉と根で比較した。その結果、N. benthamianaで見つかった根でRNAサイレンシング活性が低いという現象を確認した。 5.[RNAサイレンシング関連遺伝子の根での発現プロファイル]アラビドプシスのRDR6,AGO1,SGS3,HEN1などのサイレンシング関連因子の発現量を根と葉で比較したが、差が認められなかった。
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