研究課題/領域番号 |
07F07175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 終五 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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研究分担者 |
AHSAN Md.Nazmul 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | トラフグ / ゲノムデータベース / プロテアーゼ / In Silicoクローニング / カテプシン / RT-PCR / 代謝酵素 / アイソフォーム |
研究概要 |
水圏生物のほとんどは変温動物でその体温は陸上動物に比べて一般に低い。その結果、水圏生物の代謝酵素は低温で機能できるよう構造を柔軟にしているいれるが、その分子機構はトリプシンなど限られたタンパク質で明らかにされているに過ぎない。本研究は、トラフグ全ゲノムデータベースを利用しつつ産業的な応用に結びつきやすいプロテアーゼ、とくに哺乳類に比べて情報が少ないシステインプロテアーゼの種類と組成、コード遺伝子の上流域を機能解析することを目的とする。さらに、その結果を基に分子構造特性をコンピュータモデリングを行って調べ、哺乳類の相同タンパク質との機能の違いを明らかにする。 1.トラフグ全ゲノムデータベースを基に、既報の哺乳類などのカテプシンLを主体とするシステインプロテアーゼ群の塩基配列やアミノ酸配列を利用してin silicoクローニングを行ったところ、13scaffoldに分布した14カテプシンL候補遺伝子を単離できた。それらの中にはヒトのカテプシンL型11種類の遺伝子と相同な遺伝子が含まれていた。したがって、トラフグにはその他の3種類のカテプシン遺伝子が存在し、それらはカテプシンB、カテプシンK、新規カテプシンをコードしていることが示された。新規カテプシン遺伝子は329アミノ酸をコードし、既報のカテプシン(220アミノ酸)より著しく大きかった。 2.3種類のトラフグ特異的カテプシン遺伝子をRT-PCRで調べたところ、いずれも増幅産物が認められ、機能タンパク質として発言していることが示唆された。これらの遺伝子はトラフグ生体の種々の組織で発現がみられたが、新規カテプシン遺伝子では心臓、胆嚢、腎臓、小腸での発現は弱かった。 3.以上の結果から、トラフグ新規カテプシンは発生段階に依存して発現制御され、魚類に特徴的な機能を果たしていることが考えられた。
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