研究課題/領域番号 |
07F07187
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授
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研究分担者 |
韓 峰 東北大学, 大学院・薬学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 脳血管障害 / 内皮型一酸化窒素合成酵素 / 脳血管保護作用 / カルモデュリン阻害剤 / アルツハイマー病 / スーパーオキサイド |
研究概要 |
マイクロスフェア脳塞栓モデルラットでは脳虚血後、脳毛細血管内皮細胞において内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の誘導が起こることを世界で最初に報告した。脳虚血ではeNOSの基質、補酵素であるBH_4が低下することから、誘導されたeNOSはアンカップリング状態になり、血管に対して保護的に働く一酸化窒素に代って障害性のスーパーオキサイドが産生されることが予想される。私達はeNOSが豊富に発現する心筋細胞を用いて、この仮説を検証した。培養心筋細胞をアンギオテンシンIIに長時間暴露するとeNOSが誘導され、eNOSがアンカップリング状態になることが確認された。蛍光色素を用いて心筋細胞内での一酸化窒素(NO)とスーパーオキサイドの産生をリアルタイムで測定するとアンカップリング状態のeNOSは主に、スーパーオキサイドを産生することが明らかとなった。過剰のスーパーオキサイド産生によりアンギオテンシンII(100nM)の96時間後に心筋細胞は死滅した。次に、新規カルモデュリン阻害剤DY-9836がカルモデュリン依存性NO産生を抑制することから、アンカップリングeNOSによるスーパーオキサイドの産生に対する効果を培養心筋細胞を用いて検討した。DY-9836は用量依存性にスーパーオキサイドの産生を抑制し、アンギオテンシンII(100nM)による細胞死をほぼ完全に抑制した。以上の結果により、私達が見いだした病態における血管内皮細胞と心筋細胞におけるeNOSによるスーパーオキサイドの産生は細胞障害性に働き、新規カルモデュリン阻害剤DY-9836はアンカップリングeNOSによるスーパーオキサイドの産生を抑制する新しい脳血管保護薬となることが示された。
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