研究概要 |
TT-MENDの構築:オクタアルギニン(R8)修飾した多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)の遺伝子導入について検討し、培養細胞系において、アデノウイルスと同等の遺伝子発現活性を誘起することに成功した(Khalil, et. al.Gene Ther.2007)。しかしながら、R8には腫瘍を選択的に認識する能力がないので、腫瘍を標的化するリガンドとしてトランスフェリン(Tf)に着目した。Tfにより、受容体介在性エンドサイトーシスにより細胞内へ導入し、pH-感受性膜融合ペプチドGALAによりエンドソームを脱出させ、遺伝子発現を誘起することに成功している(Sasaki, et. al. Analytical and Bioanalytical Chemistry,in press)。しかしながら、Tfによる細胞導入力はオクタアルギニン(R8)と比較すると有為に低い。そこで、Tfの細胞選択性とR8の高い細胞膜透過性を組み合わせることにより、相乗効果を誘起できるか、検討した。その結果、両者を同時に用いることで、血清存在下において、Tf/R8-MENDは高い遺伝子発現を誘起することが判明し、dual ligand strategyが機能することが明らかとなった。 これと平行して、SK Chungらが開発した新しい細胞膜透過性素子(G8)の特性について検討を行なった。その結果、G8でMENDの表面修飾を行なうことにより、高い遺伝子発現を誘起できることが明らかとなった。さらに、G8には遺伝子凝縮化能があり、遺伝子のコンデンサーとして用いることで、MENDのコアを形成し、高い遺伝子発現を誘起することが明らかとなった(Khalil, et. al.投稿中)。
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