研究課題/領域番号 |
07F07195
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原島 秀吉 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授
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研究分担者 |
KHALIL A. Ikramy 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | オクタアルギニン / 多機能性エンベロープ型ナノ構造体 / MEND / マクロピノサイトーシス / ソルビトール / オクタグアニジン |
研究概要 |
オクタアルギニン(R8)は、細胞膜透過性ペプチドとして優れた細胞送達性を示すことが明らかになっている。R8で表面修飾した多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)は強力な遺伝子導入力を示し、優れたエンドソーム脱出能があることを報告している。平成20年度は、R8のエンドソーム脱出機構をオクタリジン(K8)と比較することにより解析した。その結果、R8とK8は共にマクロピノサイトーシスを誘起して同程度の効率で細胞内へ侵入することが明らかになった。エンドソーム脱出機構を両者で比較したところ、R8の方がK8よりも効率的に脱出することが明らかとなった。両者の脱出機構を解明するため、エンドソームの酸性化を阻止するバフィロマイシン存在下で比較したところ、R8は感受性を示し、K8は非感受性であった。In vitroの実験系で、FRETの原理を用いて膜融合能を両者で比較したところ、K8-リポソームは中性条件下でのみ膜融合を示し、R8-リボソームは中性でも酸性でも膜融合を示した。この結果は、細胞系の実験結果と良く対応し、R8-リポソームはマクロピノサイトーシスで取込まれた後、エンドソーム内が酸性になっても効率的に脱出できるのに対して、K8-リポソームは酸性になると脱出できないことが明らかとなった。本研究成果は、細胞膜透過性ペプチドの細胞内動態特性における新たなメカニズムの発見であり、この領域で高く評価されている。 さらに、韓国のChung教授と共同で、ソルビトールを基盤とした新しい細胞膜透過性素子(G8)に基づいたデリバリーシステムの開発を行ない、G8でMENDの表面を修飾することにより、高い遺伝子発現が可能となった。また、本新規デバイスは、pDNAやsiRNAをコア形成にも有用であることを初めて明らかにした。
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