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2008 年度 実績報告書

前炎症性サイトカインによる癌浸潤転移の活性化とFAKシグナル

研究課題

研究課題/領域番号 07F07199
研究機関名古屋大学

研究代表者

MON NaingNaing  名古屋大学, 大学院・医学系研究科, COE特任助教

キーワードFAK / IL-1β / MMP-9 / invasion / MCF-7 / breast cancer cells
研究概要

非受容体型チロシンキナーゼであるFocal adhesion kinase(FAK)はMMP-9の産生亢進を含む様々な細胞活動に関与しており、癌の浸潤、転移を促進する。前炎症性サイトカインであるIL-1βはMMPの分泌亢進を促進することが知られている。そこで線維芽細胞と乳癌細胞株MCF-7におけるIL-1β依存性のMMP-9分泌に必須のシグナル経路について研究を行った。線維芽細胞と乳癌細胞株MCF-7ではIL-1βによりFAKの活性化とMMP-9の産生か起こることが明らかになった。今までの研究によりMMPは細胞外基質を分解し腫瘍の浸潤を促進することが知られている。またIL-1βはMCF-7細胞においてin vitroの浸潤能を亢進させた。IL-1βがどのようにFARを活性化するのか解明するためにIL-1受容体アクセサリー蛋白(IL-1RAcP)とFAKの複合体形成を調べた。IL-1β刺激後IL-1RAcPがFAKと結合することが分かった。またIL-1β依存性のMMP産生に必要な候補分子であるSrcのリン酸化がIL-1βによって起ることが分かった。IL-1β依存性のMMP-9産生と腫瘍の浸潤にFAKのシグナルが必要であるということをさらに確認するためにMCF-7細胞においてFAKをsiRNAで抑制した場合の効果について検討した。FAK siRNAによってMCF-7細胞ではほぼ完全にIL-1β依存性のMMP-9産生と腫瘍の浸潤が抑制された。以上の結果から乳癌細胞におけるIL-1β依存性のMMP-9産生とそれによって引き起こされる腫瘍細胞の浸潤にはFAKが決定的な役割を果たしていることが明らかになった。多くのサイトカインによって形成されている腫瘍の微小環境は腫瘍の進展に欠かせないものである故、今回の結果からFAKは腫瘍の進行を阻害する重要な標的分子になりえると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The cysteine-cluster motif of c-Yes, Lyn and FAK as a Suppressive module for the kinases2008

    • 著者名/発表者名
      Mohamad Aminur Rhaman, Naing Naing Mon, et al.
    • 雑誌名

      Oncology Reports 19

      ページ: 975-980

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2008

    • 著者名/発表者名
      Naing Naing Mon, et al.
    • 雑誌名

      Inflammation and Cancer-Methods and Protocols : Vol 2, Molecular Analysis and Pathways, Chapter 15, Inflammation and tumor progression : A lesson from TNF-α-dependent FAK signaling in cholangiocarcinoma(Springer Publishing)

      ページ: 279-294

  • [学会発表] Critical role of FAK in proinflammatory cytokine IL-1β-dependent MMP-9 production2008

    • 著者名/発表者名
      Naing Naing Mon
    • 学会等名
      American Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2008
    • 発表場所
      San Diego, California, USA
    • 年月日
      2008-04-13

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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