研究課題/領域番号 |
07F07302
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸倉 英美 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授
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研究分担者 |
LI Pengfei 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 国際研究者交流 / 中国:日本 / 中国古典小説 / 変身譚 / 『聊斎志異』 / 『源氏物語』 / 唐代・六朝小説 / 比較研究 |
研究概要 |
本研究は、中国の古典小説が日本文学にどのように受容されたかを、変身の物語という視点から考察するものである。外国人特別研究員LI Pengfei(李鵬飛)は、中国歴代の様々な文献から、変身モチーフを収集し分析する作業を進めており、受け入れ研究者・戸倉英美は、六朝から清代まで、中国変身譚の変遷を研究し、いくつかの画期をはさんで、変身という主題の持つ意味に顕著な変化のあったことを明らかにした。本研究は、これらの成果に基づき、唐代・明代、及び清代の『聊斎志異』という、性格の異なる三つの時代の変身譚と、それぞれを受容して作られ日本の作品とを比較することで、両国文学の比較研究を、より高い精度で、総合的包括的に行うこどを目的とする。本年度は、三つの研究計画の一つである「『源氏物語』および奈良・平安時代の文学と、唐代変身譚の研究」に着手した。唐代変身譚と、その源流となった六朝の変身譚についてはほぼ調査が完了しているため、『古事記』『日本書紀』『日本霊異記』『今昔物語』など、日本の文献の中に変身のモチーフを探し、六朝・唐代の変身譚と比較・分析する作業を進めた、またその中で得た知見を元に、『源氏物語』「夕顔」の巻は、狐が入間の女性に姿を変える唐代の変身譚「任氏伝」、あるいは百合の花が人間に変身する「光化寺客」なもとに作られたとする日本文学専家の説に検討を加えた。李の来日が11月11日であったため、本年度は主に基礎的な作業に終始したが、いくつかの興味深い知見を得ることが出来た。これらをもとに、次年度はさらに大きな成果を目指したい。
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