研究課題
本研究では、マイクロファイナンス実施機関が取り組む防災対策に注目し、バングラデシュ沿岸地域の災害復興と防災におけるマイクロファイナンス実施機関の役割を実証分析した。Parvin氏は、2010年1月6日から2月19日までの間、気候変動に対して脆弱な地域であるバングラデシュ・Hatiya島において現地調査を行い、地域の人々のマイクロファイナンス実施機関に対する認識調査を行い、以下の点を明らかにした。1)マイクロファイナンス実施機関は、業務内容を多様化させ利用者の収入増加を支援している2)マイクロファイナンス実施機関は、マイクロファイナンスに加えて、技能開発トレーニングや水供給、衛生環境に対する意識向上活動を行っている。3)マイクロファイナンス実施機関の働きにより、マイクロファイナンス利用者の災害に対する意識は高まっており、利用者の多くの防災能力は改善されている。4)マイクロファイナンスの利用年数と防災能力向上の間には強い相関関係がある。マイクロファイナンスの利用期間が長いほど、災害対策は準備される傾向にある。5)マイクロファイナンスの高い金利について不満を抱く利用者は、金利の引き下げや月賦制、被災中・被災後における支援制度を要求している。今後は、マイクロファイナンスにおける問題点や、利用者がマイクロファイナンスへ期待している事象についてさらに分析を進め、バングラデシュの非政府組織(NGO)が、沿岸地域の気候変動や防災のために行っている活動についてより深く解明していく予定である。
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Published by Research Publishing Services, February, 2010
ページ: 163-184
http://www.iedm.ges.kyoto-u.ac.jp/