研究課題/領域番号 |
07F07326
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
風間 洋一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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研究分担者 |
PINANSKY Samuel Bernard 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 超弦理論 / トーリック幾何 / クイヴァーゲージ理論 / ゲージ / 弦対応 / 平面波背景場 / 共形不変性 / 頂点関数 |
研究概要 |
Pinanskyは、2年前にBerensteinと共に提唱した、素粒子の標準模型と非常に良く似た性質を示すMinimal Quiver Standard Modelの性質の研究を継続して行った。具体的には、このモデルのパラメーターに対する従来よりはるかに正確なバウンドの計算、および加速器実験における崩壊確率と計測確率の計算を遂行した。この計算により、近い将来にLHC実験から得られるデータとの比較の準備が整ったと言える。この研究成果は、Physical Review Dに掲載されることが確定している。この種のモデルにおける困難な点は、その背景にある超弦理論との関係が完全には明確になっていないことである。その鍵となるゲージ/弦対応については膨大な「証拠」が得られており、ある種の曲がった時空の境界にクイヴァーゲージ理論が現れることが知られているが、そのメカニズムをより明確にするために、トーリック幾何と呼ばれる代数幾何のクラスに関する研究も継続して行った。 一方風間は、前年度に引き続き、ゲージ/弦対応の理解に不可欠であるにも拘わらず発展が遅れているラモン・ラモン場を含む曲がった時空中の超弦理論の研究を行った。この種の問題のプロトタイプである平面波背景場中の超弦理論をグリーン・シュワルツ形式で共形不変性を保ったまま量子化する方法を開発し、量子化されたヴィラソロ代数を構成することに成功した。さらに、系の持つ対称性代数の生成子の量子的な構成、および物理的状態に対応する頂点関数の構成の研究を進めたが、実はこうした研究は、平坦な時空の場合でさえ行われていないことが判明したため、まず平坦な時空の場合の構成を進めることとし、ほぼそれが完成しつつある状況である。
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