研究課題/領域番号 |
07F07340
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 百合子 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授
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研究分担者 |
YAN Likai 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 電荷移動錯体 / パイエルス歪 / 一次元鎖 / 混合原子価錯体 / Elongation法 / 量子化学計算 |
研究概要 |
電荷移動金属錯体からなる擬一次元鎖やその集合体、とりわけハロゲンとの混合原子価錯体を成す金属錯体一次元鎖の電気伝導性と非線形光学(NLO)特性について電子状態理論の立場から予測することを目的としている。 以前より開発してきたElongation法が、金属を含む一次元鎖にも適用可能かどうか確認するために、Liクラスターなど金属鎖に対してElongation法を適用し計算精度の検証を行った結果、原子間距離について交替のない、すなわちバンドギャップの極めて小さな系はSCFの収束が困難であるが、適当に構造を歪ませることにより金属にも適用可能であることを確認した。エネルギーギャップがゼロの系への適用の困難さは、Elongation法の問題でなく、分子軌道法の一般的な問題であることと、最終的に目標としている系は種々の置換基や歪を有する系であるため、このまま金属を含む電荷移動金属錯体一次元鎖に適用したところ、良好な結果が得られている。また、ポリアセチレン等シンプルな高分子に金属をドーピングさせたモデル系に対しても問題なく計算可能であることも確認している。現在、局在化軌道を基底とした構造歪とNLO特性の関連に関する理論的研究に向けて、方法論も含めてさらなる展開を始めているところである。
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