研究課題/領域番号 |
07F07360
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
川上 雄資 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授
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研究分担者 |
ZHANG Yan Hong 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | トリアルコキシシラン / 加水分解 / シランジオール / ビスシラン / 不完全縮合型オリゴシルセスキオキサン / 重縮 / トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン / 耐熱性 |
研究概要 |
ポリシロキサンは、優れた機能を発揮する材料であるが、ガラス転移温度が低く、機能材料としての適用範囲が限られていた。これを改善する従来法としては、芳香核を主鎖に導入する方法があったが、必ずしも十分な耐熱性、光学的透明性を実現するには至っていなかった。我々の研究では、かご型のオリゴシルセスキオキサンを主鎖に導入して耐熱性、透明性の向上に成功した。 本研究では、かご型オリゴシルセスキオキサンを側鎖に導入する効果について検討することを目的とした。この研究は、柔軟な主鎖の硬さ、コンホメーションを側鎖の嵩高さ、剛直さで制御する方法を開発する原理を確立する意味で、基礎研究としての意義も大きい。 まず、トリアルコキシシランの条件を制御した加水分解により、不完全縮合型、ケイ素原子7個からなるシラントリオールを合成し、得られた生成物をメチルトリクロロシランで処理してメチルジクロロシラン官能基を導入し、加水分解によりメチルシランジオール官能基を有するかご状オリゴシルセスキオキサン化合物を得た。通常このようなアルキル基の結合したジシラノール化合物は、室温で不安定であり、すぐに縮合してしまうが、かご状分子の嵩高さ、疎水性の効果により安定化し、結晶として単離できることを見出した。さらに、2官能性モノマーとしてこの化合物を用いると、我々の研究で発見した、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を触媒とする縮合反応を利用して、各種組成のポリマーを得ることができることが分かった。これらのポリマーは、組み合わせるオリゴシランの重合度や置換基によってその性質を制御でき、透明性、耐熱性、成膜性などの点において、従来のポリシロキサンに比し、非常に優れた性質を示し、新たな電子材料となる可能性を見出した。なお、実験の遂行に当たっては、単に生成物の機能を調べるだけでなく、各種精密分析機器を用い、反応の進み具合の検討、重合度の制御などの観点も加えて、学問的にも厳密に進めた。この結果得られたポリマーの構造と耐熱性などの物性の相関を確立することができた。
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