研究課題/領域番号 |
07F07421
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
HUFFMAN M A 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (10335242)
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研究分担者 |
LECA Jean-Baptiste 京都大学, 霊長類研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | behavioral transmission / culture / 文化的行動 / 石遊び / 伝播 / ニホンザル / 野外観察 / 行動実験 |
研究概要 |
本研究は計3年度(19〜21年度)に跨る計画で、今回の実績概要は20年度の満12ヶ月に渡って行った研究である。本研究の目的に添って、ニホンザルの文化的行動の一つとして知られている石遊び行動を体系的に霊長類研究所の集団飼育ニホンザル群の個体追跡による詳細による分析や加齢による変化、数量的に行動の学習過程の評価、学習によって伝承される(文化的行動)という仮説を初めて行動実験によって検証出来るデータを採集した。そのデータは現在解析中のである。1983年から開始した、京都嵐山野生ニホンザル群においての石遊びの継続調査の一環として、本年度6月から11月にかけて、野外観察を行い、加齢による石遊び行動パターン発生の変化等を、長期に渡る個体追跡を行った。そのデータ解析はまだ途中段階であるが、年数が経つにつれて新しい行動パターンが増加し、それらのパターンはより複雑な操作が加えられていることが分った。更に、今までに石遊び研究対象にならなかった複数のニホンザル群や石遊びをすると最近知られた近縁種の霊長研飼育アカゲザルやバリ島のあるカニクイザル群の実態調査をおこなった。バリ島の調査は8月中の2週間にかけて、3人によっておこなった。予備結果であるが、近縁のマカク3種間の石遊び行動パターンを比較した結果、各ニホンザル地域集団間の行動パターンの相違は、種間のそれらの相違より大きいということが分った。要するに、社会学習によって集団内に伝播されるこの文化的行動は、系統発生的慣性に影響を受けているのではなかろうかとの新しい知見が得られた。逆にいえば、ニホンザルの集団間の石遊び行動パターンの違いが明らかで、地域文化の存在が示された。そして、4月に、研究補佐二人を雇って、飼育ニホンザルの行動学実験の予備調査を行った。飼育施設の都合により予定外の工事のため、実験が中断されたが、21年度に実行する予定でいる。
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