研究概要 |
1.前年度に引き続きキンモクセイにおける香気成分β-,α-iononeの昼夜発散リズムとカロテノイドレベルの変動を確認し、別途得られている分解酵素の精製・単離を試みた。また、遺伝子の発現レベルを検討し、昼夜発散に関わる要因を解析、その際のクローニング、発現用ベクター・プローブ、発現タンパク質精製用カラムの購入、色素、香気成分の分析用試薬、カラムに本研究費の一部を充当した。その結果、本年度もβ-,α-iononeは明期に高く暗期に低い発散リズムを示した。また。カロテノイド分解酵素遺伝子CCD1の発現も同様な傾向を示し、β-,α-iononeの生成・発散における分解酵素CCD1の役割を確認することができた。 2.開花にしたがって花弁の色調が変化するバラRosa chinensis Mutabilisの花の開花に伴う色素(カロテノイド、アントシアニン類)を同定し、それらの含量変化を明らかにした。カロテノイドは開花初期に高く、開花に従い減少し、逆にアントシアニン類は開花後期に増加した。一方、カロテノイド起源の香気成分の一つであるdihydro β-iononeの発散量はカロテノイドの減少期以降の明期に急激に増加することをはじめて明らかにした。 3.ノリのカロテノイド分解酵素活性を確認しその機能を解析した。等電点電気泳動装置を駆使して目的とする酵素を精製し、その等電点が著しく低いという特徴を有する酵素であることを明らかにした。精製酵素によるβ-caroteneの分解によりβ-iononeの生成を確認した。現在、タンパク質レベルでの生化学的性状を検討すると共に、分子量の決定を試みている。
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