ニワトリ由来ケラチノサイト幹細胞の分化多能性の解析:ニワトリ由来ケラチノサイト幹細胞株(FSC783)が培養系で他の細胞に分化する条件を検討した。アスコルビン酸、インスリン、インドメタシン、bFGF、EGFなどの存在下では、幹細胞は脂肪細胞に分化することが認められた。また、ハイドロコルチゾン、インスリン、bFGF、EGFなどの存在下では、神経細胞に分化した。このように、ケラチノサイト幹細胞は羽毛組織由来であるが、脂肪細胞や神経細胞に分化する能力を有することが示された(成果はStem Cellに投稿中)。ケラチノサイト幹細胞は組織再生や分化などのモデル細胞として有用であることが示唆された。細胞増殖・分化に及ぼす甲状腺ホルモンの作用とその受容体発現の解析:上記の成果を受けて、ケラチノサイト幹細胞の羽毛形成過程がTHに制御されていることを明らかにするために、樹立したFSC783を培養して甲状腺ホルモンが及ぼす細胞増殖、分化、アポトーシスについて検討を進めた。甲状腺ホルモンの作用を転写レベルで詳しく解析するために、甲状腺ホルモン応答エレメント(TRE)を合成して、タンデムに繋いだものをpGL3ベクター(ルシフェラーゼ遺伝子が連結)に構築、大腸菌でクローニングを行って、プラスミドを抽出、TRE-pGL3ベクターを作製した。これをケラチノサイト幹細胞に導入して、甲状腺ホルモンに対する応答をクロノスで解析した。
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