研究概要 |
本研究の目的は開発途上国の獣医臨床現場においても実用可能な高感度・簡便・迅速原虫病診断法を開発することである。対象とする原虫病は主にアフリカトリパノソーマ症およびピロプラズマ症とし,応用する技術は簡便な遺伝子増幅法として近年脚光を浴びているLAMP法である。本年度はタンザニアで採取したウシDNAサンプルを用いたLAMP法評価と疫学調査を実施し,LAMP法による小型ピロプラズマ症検出系が有用であることを証明した(Onderstepoort J. Vet. Res.に報告・次ページ参照)。さらに鹿児島県で採取されたダニ(Haemaphysalis hystricis)中腸内から分離した宿主動物不明の新種トリパノソーマについて分類学的位置を決定するため分子進化的解析を行ったと同時に特異的LAMP法の開発を行った(Parasitologyに報告・次ページ参照)。その他,共同研究としてウマピロプラズマ症に対して特異的なLAMP法の開発と野外サンプルを用いた評価試験を実施した。これまでのところLAMP法は既存の診断法と同等かそれらより優れており,実用診断法としてすぐれた可能性を持っていると考えられる。
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