研究課題/領域番号 |
07F07447
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
井上 昇 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (10271751)
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研究分担者 |
THEKISOE Matlhahane Molifi Oriel 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | LAMP法 / アフリカトリパノソーマ症 / 診断法 |
研究概要 |
本研究の目的は開発途上国の獣医臨床現場においても実用可能な高感度・簡便・迅速原虫病診断法を開発することである。本年度はアフリカトリパノソーマに加え、バベシア、クリプトスポリジウムについても特異的LAMP法を開発し、論文発表した(Motloangら、Bakheitら、Guanら)。バベシアはウマ・ウシなど重要家畜に重篤な疾病を引き起こす原虫として日本においても畜家伝染病に指定されている重要病原体である。一方、クリプトスポリジウムは人獣共通感染症であり、病原性原虫としては唯一、感染症法により特定病原体等(四種病原体)に指定されており、バベシア同様家畜衛生・公衆衛生上極めて重要な原虫である。 昨年度までに開発したトリパノソーマ用LAMP法に関して、本年度はフィールドでの実用性を評価すると同時に、PCR法との感度・精度比較を実施した。ヒトおよび動物のアフリカトリパノソーマ症が高度に蔓延しているウガンダにおいて、地元農家および共同研究者の協力の元、在来牛200頭程度から採血を実施し、得られた血液からトータルDNAを抽出してLAMPおよびPCRのサンプルとした。結果の詳細は論文(Jingら)に記載したが要約するとLAMP法は従来のPCR法よりも感度に優れており、簡便であるため開発途上国においても最小限の設備で診断操作が可能であることが明らかとなった。さらに、ウガンダの調査した地域では50%近い牛がトリパノソーマに感染しており、健康な家畜の育成に甚大な被害をもたらしていることも明らかとなった。 最後に、診断試薬の冷凍保存が設備や電力事情によって困難な開発途上国の実情を想定し、通常はマイナス20度にて冷凍保存しなくてはならないLAMP試薬が室温環境下でどの程度安定的に使用可能か検査した。その結果LAMP診断試薬は少なくとも2週間の室温保存(25℃〜37℃)に耐えることが明らかとなり、その成果を論文発表した(Thekisoeら)。
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