高親和性IgE受容体、FcεRIは、アレルゲン特異的IgE抗体を介したアレルギー反応において鍵となる受容体である。FcεRIを構成する3種類のサブユニットのうち、αとβサブユニットは本受容体固有の分子である。それぞれ、IgE抗体との結合、細胞内へのシグナル伝達を担っており、受容体の機能発現に必須である。近年その遺伝子発現制御領域に存在するいくつかの多型について、アレルギー疾患感受性やIgE抗体価と相関があることが報告されている。遺伝子多型は、民族によってアレルの出現頻度が異なることから、統計の母集団となる国によって疾患への影響が違ってくる報告例は少なくない。本研究では、日本とポーランドを対照に同じ遺伝子多型を標的とした統計解析を行うことにより、それぞれの国における多型と疾患の関わりをより明らかにすることを目指している。今回、αサブユニット遺伝子制御領域中に存在する多型間の連鎖が、日本とポーランドで異なる傾向を示すことを見出した。即ち、日本とポーランドでは、疾患感受性を決定する、注目すべき多型が、同一遺伝子上でも異なる位置に存在する可能性を示す。これは、両国間のみならず、アジア圏と西欧圏に位置する国々へも展開しうる知見であると考えられる。
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