研究課題/領域番号 |
07F07629
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長
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研究分担者 |
RAHMAN Md. Ashequr (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 外国人特別研究員
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キーワード | けいれん発作 / ペンチレントラゾール(PTZ) / プロスタグランジン(PG)D_2 / DP_1受容体 / リポカリン型プロスタグランジン合成酵素 / 造血型プロスタグランジン合成酵素 / ノンレム睡眠 / レム睡眠 |
研究概要 |
プロスタグランジン(PG)D_2は、中枢神経で産生される主要なプロスタノイドであり、睡眠覚醒や体温、痛みなどの調節に関与する。てんかんの発作は、脳内でのプロスタノイドの過剰な生産を促し、けいれん発作後の神経保護の役割を果たすと考えられてきた。しかし、プロスタノイドによる神経保護のメカニズムは未だ解明されていない。そこで、我々はPGD_2に選択的なDP_1受容体、及び、造血型(H-)とリポカリン型(L-)のPGD合成酵素(PGDS)のノックアウト(KO)マウスを用いて、ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発てんかんモデルでのPGD_2の役割を調べた。 明期の野生型マウス(C57BL/6)の腹腔にPTZを投与してけいれんを誘発すると、けいれん発作の終了後、数時間にわたりノンレム睡眠が増加した。一方、DP_1受容体KOマウス、及び、H-/L-PGDSのダブルKOマウスでは、けいれん発作終了後のノンレム睡眠の増加は全く見られなかった。さらに、DP_1受容体KOマウス及びH-/L-PGDSのダブルKOマウスでは、野生型マウスと比較して、PTZ投与によるけいれんの発作がひどくなった。一方、野生型マウスでは、PTZ投与5分後に脳内のPGD_2濃度は顕著に上昇したが、H-/L-PGDSのダブルKOマウスではPGD_2濃度の変化は見られなかった。これらの結果から、けいれんの発作後、PGD_2はH-/L-PGDSにより産生され、DP_1受容体を介してノンレム睡眠を誘発することで神経保護作用を担うと考えられる。
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