北陸先端科学技術大学院大学において研究されてきた「科学における新しい概念の創発」とポーランド科学アカデミーにおいて議論されてきた「数学における直観と真理」が本研究に重要な影響を与えている。過去数年間の共同研究から新しい重要な研究テーマが明らかになった。それは、知識社会の始まりに際して知識科学という新しい認識法をどのように確立するか、また、数学と科学における直感的基盤をどのように説明するか、そして、知識創造における直感の役割を説明することである。 本年度は、知識科学という新しい認識法を確立するために、直観を考慮した知識創造の新しいメカニズムを発見することを目的とした。まず、数学や科学における知識創造における直感の役割について歴史的な考察を行った。科学理論は相対主義に固執しているように見えるが、技術や科学実践ではいまだに古典的真理に基礎を置いている。この矛盾を回避する方法を発見することにより、知識創造の新しいメカニズムの発見に結びつけた。 本年度は特に、現代数学に対する説明視野(直感的基盤)の再構築、日常の数学訓練を説明するシステムの形成に取り組んみ、数学の知識創造における直感の役割について考察を行った。例えば、ラッセルの矛盾へ導く集合論における隠れた家庭について分析・記述した。さらに、この矛盾を避ける新しい方法を提案した。自然で進化的な認識論の弱点を分析し、知識創造の合理的基盤を記述した。
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