代表者、分担者は非線形非平衡現象の解明にむけて、それらを記述する反応拡散系に対して、モデリング、シミュレーションそしてその解析と言う現象数理学的視点から研究を行った。主な成果に以下がある。(1)微少重力下での燃焼パターンを記述する反応拡散系方程式を導出し、それらが自己組織化で出現することをシミュレーション解析から明らかにし、解の漸近挙動及び進行波解の解析を行った。(2)3変数活性因子-抑制因子型反応拡散系に対して、2変数系には現れなかった新しいタイプのフロント、パル波のダイナミクスの解析をシミュレーションと特異摂動法をハイブリッドに用いる方法を駆使することから行った。(3)沈殿反応に現れるリーゼガングバンドの出現は古くから知られており、モデル方程式も導出されており、シミュレーションからその存在は確認されていたが、sの厳密な証明を特異極限解析から始めて行った。(4)走化性効果を持つ大腸菌がコロニーを形成する際、2つの養分(増殖及び運動)の内後者に関与する養分濃度に依存して多様なパターンを形成することが自己組織化によるものであろうと報告された。代表者はその解明に向けて2つの養分を1つと考えることから、その定性的な説明に成功した。しかしながら、養分の扱いを単純化することから、定量的には不十分であることを研究分担者が指摘した。そこで2つの養分を別々に考える必要があり、新たなモデルを導出した。この結果は2009年6月パリ南大学で行われる研究集会『反応拡散系:モデルと解析』で発表予定である.
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