研究概要 |
本研究は,ベルギー原子力研究所(SCK-CEN)とカリフォルニア大学リバーサイド校との共同研究として,地球化学反応データベースPHREEQCと土中の水分・溶質移動予測プログラムHYDRUSを組み合わせたHP1をさらに発展改良し,我が国固有の土壌,気象等の環境に対しての適用を試みることを目的としている。平成19年度は,11月に来日したAntonov博士と共同で,PHREEQC,HYDRUS,HP1,それぞれのプログラムの詳細な検討を行い,改良の可能性を探った。平成20年3月に公開されたHYDRUS version4では,PHREEQC,HYDRUS,HP1を統合した出入力インターフェースが整えられたので,そうした統合環境におけるプログラムの発展を検討した。 また,土中の窒素移動へのHP1プログラムの適用のために,無機化,硝化,脱窒の各種反応の一次分解式によるモデル化,反応定数の本分量依存性の検討を行った。それにより,土層に対して一次反応定数を変化させて与えることにより,水田と畑の窒素移動形態をある程度表現できることを明らかにした。また,土中の変異荷電の土中溶液のpH依存性を定式化し,PHREEQCを用いて試算を行った。それにより,pHの異なる溶液が土中を移動するときのpHの変化,変異荷電量の変化をHP1により試算できることを確認した。今後,さらに酸化還元反応など水田土中の主要な反応のPHREEQCのデータベースを用いた定式化を試み,窒素移動のモデル化の発展を行う予定である。
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