研究概要 |
本共同研究の目的は、日本・中国の企業集団の国際比較を試みる点にあった。主要な課題は、(1)1990年代以降の中国の企業集団の進化過程、(2)近年の中国企業集団の形態的な特徴、(3)その経済的機能(内部資本市場の役割、その他)を解明する点にあり、この課題を、日本の高度成長期以来の企業グループの進化・その経済的機能との比較を通じて、また株式所有構造の決定とその機能に焦点を当てながら追求する。2007年度には、この課題追求のため以下の作業を進めた。 ●急速に進展する中国企業システム改革に関する実証研究のサーベイを試みた。中国国内の研究者、中国専門家のみでなく、Franklin Allen, Randolf Morckらの近年の業績をサーベイした。また、国内で開催されるWork shopに参加し、理論・実証面での交流を図った。 ●改革開放政策以来の中国企業集団の歴史的進化過程を確認した。Wang氏がこれまで試みてきた中国文の実証研究の英訳を合わせて試み、認識の共有化を図った。 ●日・中比較のケーススタディのための対象確定作業を進めた。本の横断的な企業集団(社長会)と、垂直的な企業系列をベンチマークとして、それに対応する中国の企業集団の対象を確定することが目的である。 ●中国企業集団の階層的所有構造を分析する枠組みを設定する。Cash Flow RightsとControl Rightsの乖離が、近年の分析の焦点となっているので、中国企業に関しては、この変数の候補と、作成方法を検討した。また、日本に関してもこの乖離は従来問題とされていないため、新たなデータ構築方法を検討した。
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