研究概要 |
[Co(NO_3)_2(L)](L:2,6-di(pyrazol-1-yl)pyrazine)錯体の磁気的性質について、九州大学先導物質化学研究所の佐藤治教授のグループと共同で研究を行った。この錯体は、228-240Kで磁化率にヒステリシスを示す。しかしながら、この錯体はこの温度範囲で常に強磁性状態にあり、この磁気的性質は電子スピン転移によるものではない。我々は、磁化率に及ぼす軌道角運動量のクエンチングによって磁気転移が起こることを世界で初めて示すことに成功した。X線結晶構造解析と密度汎関数計算により、ふたつのNO_3基のツイスティング効果によって軌道角運動量のクエンチングが起こり、この特異な磁気転移が起こっていることが分かった。g値の計算結果もこの解釈を支持している。この結果は、近々Journal of the American Chemical Societyに速報論文として公表されることになっている。
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