研究課題
日本とイタリアは、2004年に新しい法律として『景観法』を制定した。しかし、その具体的な計画策定には、まだ技術的な課題が多くあり、ここ数年の進展が著しいイタリアとの情報の交流は日本の制度づくりにも重要な意味を持つと考える。そこで、本年度の研究では、日伊における『文化的景観の保全』に研究対象を絞り、その実現のための制度的な捉え方の比較、保全計画の具体的な事例の比較(日本の伝統的建造物群保存地区・文化的景観、イタリアの風景規制地区・新制度による県の風景計画との比較)と、さらには都市計画プランの評価、規制の経済効果の評価といった評価手法の比較(環境影響評価、不動産価格評価等)を行い、地球環境保全時代の新しい計画の技術の革新のための基礎的な研究を行うことを目的とした。研究成果として、第1に、国際的な制度の比較整理を行い、『景観』ないし『文化的景観』の定義、行政、教育がどのように行われてきたのかを日伊で比較し、日本造園学会誌「ランドスケープ研究」にその一部を発表した。第2に、日本においては、文化庁がこれまで行ってきた調査や、いくつか候補として挙げられた各地の独自の取り組み成果を文献とし、そのタイプ分けや課題を整理した。その結果を用いて、国内の文化的景観保全計画への取り組み事例として、既に先行して取り組んでいる自治体(唐津市、うきは市、柳川市、山都市、天草市、出水市、薩摩川内市等)を取り上げて視察し、現状の具体的な課題を把握した。第3に、金沢市、倉敷市、萩市の伝統的建造物群保存地区の景観規制と地価の関係について推計し、その効果を日本都市計画学会論文集及び大会にて発表を行った。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
日本都市計画学会誌 都市計画 Vol.56, No.1
ページ: 37-42
日本造園学会誌 ランドスケープ研究 Vol.71, No.1
ページ: 55-56
日本都市計画学会論文集 No.42-3
ページ: 115-120