研究課題
本研究によって得られた知見を以下に記す(1)葉緑体から核へ転移した遺伝子の同定と転移機構の解明 ポプラの葉緑体ゲノムから消失したことが明らかとなっているリボソームタンパク質遺伝子であるrps16とrpl32について解析を行った。解析の結果、核ゲノムで機能するrps16とrpl32ともに単離することができた。rpl32については、葉緑体から核へ転移した後に核ゲノム内に存在する葉緑体Cu-Znスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子から葉緑体移行シグナルを獲得することで、遺伝子転移を成立させていたことが判明した。rps16についてばマメ科植物であるタルウマゴヤシにおいても同様に葉緑体ゲノムから消失していることが報告されていたので、ポプラとタルウマゴヤシにおいて解析を行ったところ、ミトコンドリア由来のrps16がミトコンドリアと葉緑体へのDual targetingシグナルを獲得することで、葉緑体ゲノムにコードしてあったrps16と置換されたことが明らかとなった。この現象はイネやシロイヌナズナなどの他の高等植物についても広く確認でき、葉緑体ゲノムにコードしてあるrps16は、高等植物が誕生したごく初期の段階で、ミトコンドリアに由来するrps16による置換が進行していることが示唆された。本研究により、Dual targetingシグナル獲得による遺伝子置換の例を世界で初めて明らかにした。
すべて 2007
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Gene 402
ページ: 51-56