地震発生メカニズムを調べるため、本研究では、震源域下における不均質構造がどのように地震発生に影響を与えるのか、についての考察を与えることを目的として、内陸地震の地震発生域下に見られる不均質構造の共通因子を抽出し、それらの不均質構造が地震発生に果たした役割について考察する。 まず、中国地方において、山陰地方で発生したマグニチュード6以上の地震が、深さ15-25kmの反射波の強度が高い領域の境界で発生していることが共通する特徴として抽出された。用いる波の周波数を変えた解析でも同じように検出され、不均質構造の特徴的なサイズは一意ではないことが伺えた。解の分解能から断定はできないが、断層が異なる物質の境界に位置し下部地殻までほぼ鉛直な断層の下部延長が存在する可能性を示唆するものと考えられる。 続いてこうした特徴が他の似たテクトニックセッティングを持つ1948年にM7.1の福井地震が発生した北陸地方で見られるか検証した。本地域において同様の地殻内近地地震の波形記録を使用し、中国地方と同様の反射法解析を行うことにより、深さ0-100kmの不均質構造の抽出を行った。その結果、フィリピン海プレート、Moho面からの反射を検出することができ、同地域での深さがそれぞれ50-60km、40km程度と推定された。深さ20-25km程度にも明瞭な反射波層が検出された。深さ15-25kmで断層(の深部延長を含む領域)を横切る方向に反射波の強度が断層のはさんで大きく変化していることがわかった。 以上により、山陰地方と北陸地方の両方で横ずれ断層を持つ震源が反射波の強度の高低の境界に位置することがわかった。2000年鳥取県西部地震ではこの境界面が断層面とほぼ一致したため、断層の深部延長として機能し、地震発生に結びついたという可能性が示唆される。
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