本年度は高等教育の学生支援における専門職の構造を明らかにすることを目的に、米国高等教育の専門職の形成とその要因分析および、日本における意思決定および実践の教職員の役割の比重について研究を進めた。詳細は以下の通りである。 1.1900年以降の米国学生支援の変遷過程を、その時代に焦点化された学生支援の哲学的思想、制度的発展、大学教育における学生支援の位置づけの視点から分析を行い、それらの要素間の相関を分析したところ、学生学習の促進が最大目的と据えられている現在は、哲学が制度を形作り教員のパートナーとしての学生支援専門職像が普及したことが確認された。 2.日本においてはアンケート調査の結果をもとに分析を行った結果、領域によってガバナンス構造に違いがあることが明らかとなり、中規模私立大学において改革の先駆となるガバナンス、組織改革が進行していることが確認された。これらの中規模私立大学の焦点は教職員協働型のガバナンスであり、以上の日米の知見を元に、最終年度となる来年度は、学習時代および教職員協働型の学生支援の在り方について、その制度、ガバナンス、最適なサービスについて検討を進めることとする。
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