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2007 年度 実績報告書

砂地盤の波浪応答における風波と津波の差異とその機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07J00623
研究機関名古屋大学

研究代表者

中村 友昭  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード局所洗掘 / 遡上津波 / 水理模型実験 / 数値シミュレーション / 有効応力 / 流速 / 砂粒子間の拘束力 / 相対平均有効応力比
研究概要

2004年インド洋大津波によりインド洋沿岸のインドやスリランカなどで陸上構造物の周囲に大規模な洗掘が生じた事例が報告されている.しかし,陸上構造物を対象に準備による洗掘を検討した研究例はなく,また砂地盤内部の応力状態が洗掘に及ぼす影響を取り扱った事例は極めて限られている.本研究では,インド洋大津波での現地観測で確認され先ものと類似する陸上構造物を初めて取り扱い,陸上遡上津波による構造物周辺の洗掘の発生機構を,特に砂地盤の内部に生じる応力変動の観点から水理模型実験と数値計算により考究した.
水理模型実験により,構造物沖側隅角部に生じる洗掘穴の勾配が安息角を一時的に上回り,さらに流速減少後にその急勾配を有する砂粒子が洗掘穴の下部へ落ち込むごとから,相対越波高が大きい条件では構造物沖側隅角部に生じる最大最終洗掘深が洗掘過程の途中で生じる最大洗掘深を下回る現象が確認できた.このことから,海岸構造物の設計に際して最大最終洗掘深により局所洗掘を評価することの危険性を明らかにできた.また,構造物沖側隅角部の最大最終洗掘深は相対越波高および構造物の相対根入れ深さの増加とともに増大するが,上述したように津波作用後に洗掘穴内部に砂が落ち込むことから,その増加割合は相対越波高の増加とともに徐々に小さくなる傾向が確認できた.数値シミュレーションでは,砂地盤表面付近の有効応力の低下に伴い砂粒子間の拘束力が減少し,その状態の砂地盤に接線方向の流速が作用したことで,構造物沖側隅角部の局所洗掘,特にその初期状態の洗掘が生じたことを明らかにした.その一方で,構造物の岸側隅角部では比較的大きな流速変動が生じていたが,有効応力の増加のために洗掘が生じなかったと考えられる.以上より,埋立海浜上の流速変動に加えて砂地盤内部の有効応力変動も用いることで陸上溯上津波による局所洗堀を適切に評価できることを明らかにした.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 遡上津波による陸上構造物周辺の局所洗掘に関する研究2007

    • 著者名/発表者名
      中村 友昭
    • 雑誌名

      海岸工学論文集 54

      ページ: 856-860

    • 査読あり
  • [学会発表] 応力変動の影響を考慮した遡上津波による地形変化シミュレーションに関する一考察2008

    • 著者名/発表者名
      中村 友昭
    • 学会等名
      平成19年度土木学会中部支部
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      2008-03-07
  • [学会発表] Effects of pore water pressure on scour-in case of local scour due to runup tsunami2007

    • 著者名/発表者名
      Tomoaki Nakamura
    • 学会等名
      Coastal Erosion:its Dynamics and Impact to Human Life
    • 発表場所
      Pattaya,Thailand
    • 年月日
      2007-11-03
  • [学会発表] Three-dimensional numerical analysis on runup tsunami deformation around containers on an apron and tsunami induced wave pressure acting on the containers2007

    • 著者名/発表者名
      Tomoaki Nakamura
    • 学会等名
      Asian and Pacific Coasts 2007
    • 発表場所
      Nanjing,China
    • 年月日
      2007-09-23
  • [学会発表] 陸上遡上津波による矩形構造物周辺の局所洗掘と砂地盤内部の応力変動に関する一考察2007

    • 著者名/発表者名
      中村 友昭
    • 学会等名
      土木学会第62回年次学術講演会
    • 発表場所
      広島大学東広島キャンパス
    • 年月日
      2007-09-13
  • [学会発表] Local scour around a square structure due to runup tsunami2007

    • 著者名/発表者名
      Tomoaki Nakamura
    • 学会等名
      Coastal Structures 2007
    • 発表場所
      Venice,Italy
    • 年月日
      2007-07-03

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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