研究概要 |
19年度研究計画に基づき、報告者が構成した多様体を詳細に調べることで4次元多様体の微分構造の研究を行った。具体的には以下の3つの問題に取り組んだ。 1.全ての可微分単連結閉4次元多様体は1,3ハンドルのないハンドル分解を持つか?あるいは少なくとも1ハンドルのない分解を持つか? 2.Akbulut corkの新たな例の構成 3.スタイン曲面のエキゾチック微分構造の構成 どれも4次元多様体の微分構造の分類において重要であるが、ほとんど研究されていない問題である。なお、2と3はSelman Akbulut氏(ミシガン州立大学)との共同研究である。これらの問題に関連して下記の成果を得た。 4.(1)1ハンドルが必要だと予想されていた楕円曲面と重要な性質を共有する多様体で、1ハンドルの不要なものを構成した。(2)1ハンドルが必要だと予想されていた楕円曲面のいくつかの族について、1ハンドルが不要であることを示した。 5.報告者が4.(1)で構成した多様体を調べることにより、新たなAkbulut corkの例を発見した。 6.互いに同相なスタイン曲面で、微分同相ではないものを構成した。さらに、それらの簡明なカービー図式による表示を与えた。 なお5と6はAkbulut氏との共同研究による成果である。
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