日本語母語話者(以下、日本語話者)と韓国語母語話者である日本語学習者(以下、韓国語話者)の日本語発話態度の知覚と生成に関し以下の実験を行った。 1.日本語話者と韓国語話者である日本語上級者を対象に日本語発話態度の知覚実験 2.日本語話者と韓国語話者である日本語初級者を対象に日本語発話態度の知覚実験 3.韓国語話者を対象に発話態度に関する日本語発話の音響分析 4.韓国語話者を対象に発話態度に関する韓国語発話の音響分析 実験1と2では知覚、実験3と4では生成について調べた。実験1と2より、日本語話者と韓国語話者である日本語上級学習者と初級学習者の発話態度の知覚について比較すると、日本語話者と韓国語者は異なる知覚傾向を示した。また、上級者と初級者においても異なる結果を示した。上級者の場合、学習者独自のストラテジーを形成し知覚を行う為、日本語話者と異なる傾向を示し、初級学習者は判断が困難であった。日本語能力が発達するとともに発話態度の知覚も変化することがわかった。 3、4の実験より、日本語中級学習者である韓国語話者の日本語発話、韓国語発話について音響分析を行った。結果、日本語話者の評価とイントネーションの比較より、韓国語話者は日本語発話態度の生成は確実に行えず、発話態度の生成は難しいことがわかった。韓国語において発話態度の生成において最終音節のイントネーションだけではなく、一音節目から二音節目のイントネーションも重要であることが推測された。また、韓国語発話と日本語発話の比較より、韓国語話者の日本語発話には単に母語の影響だけではなく、学習経緯を示すような傾向がみられた。以上から、韓国語を母語とする日本語学習者の日本語発話態度に関する知覚と生成の傾向が明らかになった。
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