研究課題
本研究を行うにあたって3つの目的を事前に設定しており、今年度はそのうちの2つの目的を果たした。1つ目の目的は、文脈内多肢選択式語彙テストにおける解答プロセスを通じて、学習者が文脈をどのように活用しているかを調べることであった。この結果、テスト項目の難易度によって使用する文脈中の手がかりが大きく変わるわけではないものの、易しい項目の方がより多くの手がかりを使用していた。また、目標語のそばにある未知語の存在が、難易度に大きな影響を与えている影響も示唆された。2つ目の目的は、文脈内の単語と学習者が選んだ選択肢との共起頻度や相互情報量を調べるものであったが、より適切に論じるために研究手法を変更した。具体的には、(a)文脈内の単語と共起頻度が高い錯乱肢、(b)共起頻度は高くないが目標語と意味的関連のある錯乱肢、(c)無関連な錯乱肢の3種類を用意し、どの錯乱肢が最もテスト受験者に選ばれやすいかを調査した。その結果、熟達度が高い学習者も低い学習者も(a)の錯乱肢に最も多く引き付けられ、(c)の錯乱肢に引き付けられる人数は有意に少なかった。しかし、(b)については一貫した結果が見られなかった。ここから、錯乱肢と文脈内の語の共起頻度が、錯乱肢の引き付けやすさに大きな影響を及ぼしていることが示唆された。更には、錯乱肢の種類によってテストの難易度が変化するかという追調査を行い、(a)の種類の錯乱肢が含まれているテストの難易度が最も高かったため、結果が支持された。いずれの調査についても口頭発表済みであり、また論文として掲載が決定している。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
Annual Review of English Language Education in Japan 19(印刷中)
JLTA Journal 10
ページ: 68-87
ページ: 56-67