研究課題
本研究の目的は、ガス電子増幅フォイル(GEM)を用いたX線偏光計でカニ星雲の観測を行うことである。平成20年度は、GEMの性能評価と宇宙環境試験を行ったほか、GEMを用いたX線偏光観測の世界との共同研究が始まった。1.我々は偏光計にGEMを応用するとき重要になるGEMの増幅率の均一性について評価実験を行った。その結果、偏光計として利用するのには充分な性能があることがわかった。詳しい結果はNuclear Instruments and Methods in Physics Research Aに投稿済みである。2.X線偏光計を衛星に搭載する際、GEMの放電や導通破壊を引き起こす可能性のある宇宙線を想定し、放射線医学研究所にて荷電粒子を照射する耐性試験を行った。そして、我々が開発したGEMが衛星軌道上の宇宙線に対して充分な耐性があることがわかった。結果はIEEEに投稿準備中である。3.平成20年度になり本研究にて改良を重ねてきたGEMが世界でも認められるようになり、X線偏光観測計画に我々のGEMを用いたいという依頼を受け、共同研究がスタートした。ひとつは世界全体のX線天体物理学の将来ミッションである、X線天文台に搭載する偏光計の開発を手がけるピサ大学で、我々もピサ大学を訪れ読み出しシステムの開発状況の現状を実際に見、ピサ大学のメンバーも日本に来て共に荷電粒子照射実験を行った。もうひとつはロケット実験および小型衛星計画が進行中のNASAゴダード宇宙飛行センターである。2012年12月にはロケット実験によるカニ星雲の観測が正式に決定している。我々は現地を訪れ偏光計の開発状況を見学し、GEMのデザインについても議論してきた。
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Space Telescopes and Instrumentation 2008 : Ultraviolet to Gamma Ray. Proceedings of the SPIE Vol. 7011
ページ: 70113W-70113W-8
ページ: 70113V-70113V-8