本研究では、歯周病および骨誘導促進能に対するアドレノメデュリンの意義の解明と歯科口腔外科領域における臨床応用を研究目的とする。今年度においてはアドレノメデュリンの骨への影響に重点をおいて研究を行った。In vivoにおいては、アドレノメデュリンTgマウスとWTマウスの骨の解析をマイクロCT撮影を行い、施行したところアドレノメデュリンTg群において骨梁密度および皮質骨厚の上昇を認めた。また6時間以上絶食状態としたマウスから採血を行い、血清I型コラーゲン測定を施行したところ、アドレノメデュリンTg群において低値を示した。in vitroにおいてはヒト、マウスの骨髄細胞にBMP2を添加し骨誘導を行い、アドレノメデュリン添加による骨誘導促進作用の検討を行った。アルカリホスファターゼ活性を測定したところ、アドレノメデュリン非添加群に対し、アドレノメデュリン添加群では、有意に高値を示した。またアドレノメデュリンの添加群、非添加群に分け、破骨細胞培養をおこない、TRAP染色を施行したところ、アドレノメデュリン添加群において、アドレノメデュリン非添加群と比較し、破骨細胞分化に抑制的に作用する傾向を認めた。以上よりアドレノメデュリンは骨誘導促進作用、骨吸収抑制作用を有している可能性が示唆された。その作用、メカニズムについて更なる検討を行っていく予定である。また、骨折モデル等へのAM投与を行い、その治癒への影響なども検討する。
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