平成19年度の上半期は、日本アフリカ学会第44回学術大会(於:長崎大学、5月)、第41回日本文化人類学研究大会(於:名古屋大学、6月)、英国王立人類学協会主催映画祭"Beyond Text"(於:マンチェスター大学、6月)、第16回国際エチオピア学会(於:トロンダイム大学、ノルウェー、7月)に参加し、自ら制作した民族誌映画を発表すると共に、映像を活用したフィールド調査法に関し、映像人類学研究の最先端で活躍する研究者たちと徹底した議論を行った。英国王立人類学協会主催映画祭においては拙作が王立人類学協会賞にノミネートされた。また、国際エチオピア学会においては、ハンブルグ大学のWolbert Smidt博士とともにFilm Panelの主催者としてエチオピアに関する人類学映画、歴史映像を収集し、上映、批評し、オーディエンスとの積極的な議論を行った。映像を通した発表に重点を置く企画は、本学会においては初の試みであったが、各国の研究者より高い評価を得た。8月にはユネスコの委託プロジェクトとして2006年より従事してきたエチオピア音楽・芸能の世界無形遺産登録にむけた映像記録を40分の映像作品としてまとめ、ユネスコアジスアベバに提出した(本作の一部映像は以下のサイトにおいて確認できるhttp://www.itsushikawase.com/dance.html)。さらに九月中旬には、その作品をワシントンDCの米国議会図書館の中東・アフリカ部門において米国東部のアフリカ研究者、議会図書館職員等に対して公表し、無形文化遺産の映像記録の必要性とその課題に関して討論を行った。
|