当該研究のメインとなる、グザイ原子エックス線分光実験は現在東海村に建設中のJ-PPARC陽子加速器2次ビームラインである、K1.8beam lineで行う予定である。 現在、実験エリアであるbeam lineの整備を進めている。特に、グザイ原子生成を標識かするための磁気スペクトロメーターシズテム"KURAMA"を高エネルギー加速器研究機構から移設するための準備及び、J-PARC K1.8に特化させるための検出器群アップグレードを行っている。ビーム強度が高くなるために高計数率下でのオペレートが出来るように、あらたに大型チェンバーを米国ブルックヘブン国立研究所から移設し修理及び改良を行った。また、エツクス線検出器であるゲルマニウム検出器に関して、詳細なシミュレーションを行った結果、通常の一結晶型検出器より、四結晶型の検出器(クローバー型)が適していることが分かった。このクローバー型ゲルマニウム検出器を放射状に配置することで、周囲の検出器との干渉をさけ高い検出効率を実現することができることがわかった。ゲルマニウム検出器の精密なエネルギー較正を行うためのシステムを東北大学CYRICと共同で開発を行い、熱中性子により放射化したIrをシンチレーター内に埋め込み、β-γ同時測定できる線源を作成した。シンチレーターで0でβ線を検出した時にのみデータを取得できるため、ゲルマニウム検出器が高計数率下、高バックグラウンド環境下での動作でも効率的に較正用のデータを取得することが可能となる。熱中性子源となるCYRIC HM12陽子サイクロトロンは薬剤製造用に毎日稼動しており、10時間程度パラサイトで照射することで必要な強度の線源が作成できる。このため、半減期70日192-Irを実験にあわせて適宜作成できることがわかった。
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