当該研究は、グザイ-核子間相互作用を明らかにすることを目的としている。そのための手法のひとつであるグザイ原子エックス線の精密測定は現在建設中のJ-PARC K1.8ビームラインで行われる。K1.8における実験は当該研究を含め主に、高強度K-ビームを用いたストレンジ量子数(-S)を持つハドロン多体系の研究を目的としている。これらの実験は、当該研究に対し異なる側面からのアプローチになるため、申請者自身も共同研究として参加している。K1.8最初の実験は平成21年宋に行われる。そのため、20年度よりK1.8実験エリアの整備を行った。特に、グザイ生成反応を判別するための磁気スペクトロメーターに使用する検出器、大型ドリフトチェンバーの性能評価を行い、要求される位置分解能が達成できることを確認した。この大型ドリフトチェンバーは、K1.8ビームラインで行われる他のストレンジネス核物理実験にも汎用的に使用される。 エックス線脱励起するグザイ静止事象は原子核乾板内の軌跡から判別されるが、原子核乾板はデータ蓄積型の検出器であるためスペクトロメーターでタグした反応と同時発生した軌跡か、同時発生したで軌跡の近傍にあるバックグラウンドの軌跡かを判別するのが非常に困難な場合が多い。そのため、エネルギー依存の多重散乱角から質量比を決定する手法を研究した。
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