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2008 年度 実績報告書

セリウム触媒を利用した人工制限酵素の高機能化および遺伝子操作への応用

研究課題

研究課題/領域番号 07J03030
研究機関東京大学

研究代表者

愛場 雄一郎  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1) (10581085)

キーワードDNA / セシウム(IV) / 位置選択的切断 / 遺伝子組換え / 制限酵素 / PNA
研究概要

遺伝子組み換え技術は、突き詰めるとDNAを位置選択的に切断し、他の遺伝子と繋ぎ合わせる2つの要素に集約される。しかし、DNA切断に用いられる天然制限酵素は、切断位置が限定されたり、選択性が不十分であったりと、ゲノムなどの巨大DNAを扱うツールとしては十分とは言えない。これに対し我々は、DNA加水分解触媒Ce(IV)/EDTAとPNA(ペプチド核酸)を併用した人工制限酵素の構築に成功している。本系は天然を超える高い位置特異性と自由度を有し、今後のバイオテクノロジーの発展には非常に有用である。ただ、切断効率の面については改善の余地があった。そこで本研究では、切断効率・選択性をより向上した次世代人工制限酵素の構築を目指した。本年度は、選択性に関係するPNAと、切断効率に寄与する配位子に注目し研究を進めた。
まずPNAについては、骨格中にリンカー部位を導入した、新たな修飾法について検討を行った。これまで様々なPNA誘導体が報告されているが、ほとんどが骨格長け同じままキラリティのみを制御したPNAである。それに対し私は、DNAに比べPNAの1ターンの塩基数が大きく増加している点に着目し、PNA骨格中にリンカーを導入する十分な余地があるのではないかと考え、様々な長さのシンカーを導入したPNAを合成、評価を行った。若干のTm低下は見られるものの、いずれの修飾PNAも相補鎖DNAを正確に認識することがわかった。現在機能性リンカーを用いることで、新たな機能を付与したARCUTについて検討中である。
これまで、リン酸系配位子を切断部位近傍に配置することで、Ce(IV)/EDTAを局所的に濃縮させ、切断効率の向上に成功している。なかでも複数のリン酸基を有するEDTP配位子が最も有効である。さらに、今年度は従来のCe(IV)/EDTAの代わりに、Ce(III)をEDTP上で空気酸化し活性を有するCe(IV)を生じさせた、EDTAフリーな簡素かつ効率的な系を構築した。今後は、本系の切断機構など詳細な検討を行う。また、2本鎖切断系へと展開すべく、PNAへのEDTP修飾についても現在検討中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Introduction of linkers into PNA for versatile applications2008

    • 著者名/発表者名
      Y. Aiba, M. Komiyama
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Symp. Ser. 52

      ページ: 143-144

    • 査読あり
  • [学会発表] ジスルフィド結合を導入したPNAによるDNAの認識とその制御2009

    • 著者名/発表者名
      愛場雄一郎, 小宮山眞
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] Novel functionalization of PNA by using linkers for versatile applications2009

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Aiba, Makoto Komiyam
    • 学会等名
      U-Tokyo/Yonsei U GCOE Joint Symposium "Chemistry Innovation"
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2009-01-19
  • [学会発表] ジスルフィド結合導入PNAによるインベージョンとその制御2008

    • 著者名/発表者名
      愛場雄一郎, 須磨岡淳, 小宮山眞
    • 学会等名
      第3回バイオ関連化学合同シンポジウム2008
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2008-09-19
  • [学会発表] Introduction of linkers into PNA for versatile applications2008

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Aiba, Makoto Komiyama
    • 学会等名
      Joint Symposium of 18th International Roundtable on Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids and 35th International Symposium on Nucleic Acids Chemistry
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-09-09
  • [学会発表] リン酸系配位子導入によるDNA位置選択的切断の高率化と遺伝子操作2008

    • 著者名/発表者名
      愛場雄一郎, Tuomas Lonnberg, 鈴木裕太, 小宮山眞
    • 学会等名
      生体機能関連化学若手の会サマースクール
    • 発表場所
      宮城県
    • 年月日
      2008-08-06

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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