1'-Acetoxychavicol acetate(ACA)はショウガ科植物Languas galangaの地下茎より単離された天然物であり、悪性腫瘍の増殖を選択的に抑制する、ユニークな効果が報告されています。そのため、本化合物をリード化合物とすることで、新しい機能を有する抗がん剤へ誘導できる可能性があると言えますが、その単純な分子構造故に構造展開が困難であるとされ、十分な研究が行われていませんでした。私ははじめに、ACAがsp3炭素を介し共役基が連結した構造である点に着目し、構造展開が困難なビニル基を各種共役系へ変換する検討を行いました。その結果、ビニル基をフェニル基に変換したベンズヒドロール型において活性が保持されることを明らかとしました。更に、私が前年度に開発した芳香環上の化学選択的亜鉛化反応を用いることで、これの誘導体を系統的に合成できると考え検討を行いました。その結果、容易に入手可能な原料から最短2工程で目的の骨格が得られることを明らかにし、その結果官能基の異なる25種類のベンズヒドロール誘導体を合成することができました。
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