本研究は、カメルーン共和国・ベヌエ国立公園を調査地とし、現代アフリカにおけるスポーツハンティングを基盤とした自然保護政策と地域住民の関係に焦点を当て、人と野生動物の共存関係の構築を前提とした住民参加型自然保護政策のあり方を探求することを目的としている。 年度初めより、カメルーン共和国・ベヌエ国立公園に赴き、約5ケ月間にわたるフィールドワークをおこなった。ベヌエ国立公園に隣接する調査村A村において、農業や狩猟などの生業活動に関する定量的データを収集し、同時に、本研究の主柱となるスポーツハンティング観光と村の関係史、また地域住民のもつスポーツハンティングに対する思いや考えについて、聞き取り調査をおこなった。州都ガルアおよび首都ヤウンデにあるカメルーン野生動物森林省において、関係者へのインタビューを行うと同時に、1960年代までにさかのぼる年間報告書を入手した。この年間報告書に記載されている各年のスポーツハンティング活動を示す指標(ハンティングライセンス数、税収など)は、本研究において重要な数値的データとなると確信している。また首都にある公文書資料館でも歴史文書を主とする資料収集をおこなった。カメルーンを出国後、フランスにある学術研究機関IRD(L'Institut de recherche pour le developpement)において、カメルーンおよび隣国の中央アフリカ共和国にてスポーツハンティングに関する研究をおこなっているPierre-Armand Roulet氏と会合し、親交を深め、情報交換をおこなった。帰国後、文献調査とともに、収集したデータおよび資料の整理・分析を行った。「6.研究発表」にあるように、これらの成果をもとに、日本アフリカ学会誌「アフリカ研究」への投稿(現在査読中)をおこなった。また、鬼頭秀一氏(東京大学教授)より鬼頭秀一・福永真弓(共編)『環境倫理入門-二項対立図式を越えて-』への執筆依頼を受け、また環境社会学会より『環境社会学研究第14号特集論文』への投稿依頼を受けた。加えて、6月に開催される環境社会学会第37回セミナーにて自由報告を予定している。
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