地球温暖化からなる近年の気候変動や資源の枯渇問題などが、作物栽培へ影響することが懸念されていち。そのような中で植物の環境に対する応答機構が解明されつつあり、植物の環境適応能力を高めるための効果的な栽培や育種に活かすことが期待されている。そのためには、環境応答の分子機構のさらなる研究が必要である。 本研究では、近い将来に資源の枯渇等が予測されており、また途上国での使用量の増加から肥料価格が高騰している栄養元素の「リン」に注目し、新規のシステムを利用した研究を植物のリン酸環境に対する適応機構の解明に繋げることを目標としている。 具体的には、植物が環境中のリン酸量に応じてどのようにリン酸を吸収し、組織へ移動させているのかを明らかにすることを目標にしている。そのため、リン酸輸送体タンパク質遺伝子の機能解析と実際のリン酸動態の画像解析から調べている。 20年度の成果は、マメ科モデル植物であるミヤコグサのリン酸輸送体遺伝子を新規に3つ単離し、これまでに報告されていたほかの3遺伝子と合わせて合計6つの遺伝子の組織別発現量をリアルタイムPCRによって調べ、発現場折をin situハイブリダイゼーションにより確認した。また、リアルタイムイメージングシステムにより実際のリン酸の移行速度や量の関係を調べた。現在は、発現量が高く特徴的な輸送体遺伝子3つについて、過剰発現体、発現抑制体を作製しており、形質転換体が作製でき次第、リン酸動態のイメージングを試みようとしているところである。
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