研究概要 |
1.既知の超新星残骸の非熱的放射の探査 「すざく」の硬X線検出器(HXD)の特性を活かし、超新星残骸SN1006衝撃波面で加速された電子からのシンクロトロン放射を詳細に解析した。その結果、今までpower-1awで単純に記述されていたシンクロトロン放射に、折れ曲がりがあることを初めてはっきりと発見した。この事実から、加運電子の最高エネルギーを10TeV程度と求めた(成果1,9)。また、RCW86という別の超新星残骸でも10keV以上にのびるシンクロトロン放射を初めて発見した(成果11)。ほかにも、超新星残骸の熱的・非熱的放射について、また銀河面からの硬X線放射や活動銀河核からの放射についても、多くの成果をあげた(成果2,3,4,6,7)。 2.TeV未同定天体のX線探査 「すざく」のX線撮像分光器(XIS)を用いて、TeVガンマ線でのみ放射が確認されている謎の天体「TeV未同定天体」の追観測を組織的に行なっている。うち一天体HESS J1614-518については、「すざく」を用いてはじめてパルサー星雲である可能性が高いことを示唆した(成果5)。その他の天体についても、複数天体をすでに観測し、1天体はSN1006のような超新星残骸タイプ、1天体はパルサー星雲タイプ、もう1天体はいまだに全く正体不明であることをつきとめた。これらの天体についても、学会発表や論文の準備を進めている。 3.「すざく」の成果の発表 「すざく」の超新星残骸およびTeV未同定天体に対する多くの成果を受け、「すざく」チーム外に対する招待講演を数多く行なった(成果8,10,12,13,14)。また、「すざく」のデータを海外の「すざく」チーム以外の人にも使ってもらえるよう、海外に出向いて講習会を行なった。
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