安定マッチング問題には安定結婚問題や安定ルームメイト問題といった実世界で応用例が多数存在する問題があり、非常に重要な問題であると考えられている。本研究では、種々の安定マッチング問題の多項式時間計算可能性の検証、および、NP困難問題に対する近似アルゴリズムの考案を目標として研究を行っている。平成19年度には、安定ルームメイト問題を3次元に拡張した問題である3D-SRがNP完全であることを示し、WAAC2007、COMP2007において発表を行った。この結果により、当該問題の多項式時間アルゴリズムが存在しないことが予想され、当該問題における近似アルゴリズムの重要性が示された。また、私と同じ博士後期課程の学生と共同研究を行った。我々はオンライン実時間スケジューリング問題を扱い、既存のオンラインアルゴリズムの厳密な解析を行いESA2007、電子情報通信学会総合大会において発表を行った。この結果から、既存アルゴリズムの限界が明らかになり、当該問題の下限の改良か新しいオンラインアルゴリズムの考案が必要なことが明らかとなった。さらに、3ヶ月間北京のMicrosoft Research Asiaにおいてインターンを行い、グラフのCentralityに関する研究を行った。我々はCentralityの指標の1つであるCloseness Centralityをランキングするアルゴリズムを考案した。この結果はFAW2008において発表を行う予定である。
|