研究課題
感情情報を含んだ物語を読むことで生成される状況モデルは、メンクライジングの神経基盤によって表象されるという仮説を確かめるためにfMRIを用いて検討を行った。23人の健常被験者が、3種類の異なった感情価を持つ状況説明文章と、先行する文章と一貫した同一のターゲット文から構成される文章を読んだ。つまり、ターゲット文を読むことによって状況モデルの更新を促す課題を用いた。ターゲット文に関連した脳活動は、メンタライジングネットワークの一部である背内側前頭前野と側頭極に加え、感情の評価に関連する外側前頭眼窩皮質において、ネガティブな感情価を持った状況の文脈を与えた場合に相関した。したがって、状況モデルの感情の次元は、感情評価の神経基盤とメンタライジングネットワークによって表象されていることが明らかになった。主人公の感情の活動性を操作した物語を読むことによって、読者の運動表象が活動するという仮説を確かめるためにfMRIを用いて検討を行った。23人の健常被験者が、異なった活動性(低・中・高)を持つ状況説明文章と、活動性が高いターゲット文から構成される文章を読んだ。読者が主人公の活動性が増加したかどうかを判断している際の脳活動を計測した。活動性の増加判断に関連した脳活動は、補足運動野、運動前野、一次運動野といった運動関連領域であり、仮説は支持された。加えて、ポジティブな感情価を持ち活動性が増加する文章を読んだ場合に、共感や快感情と関連する内側前頭眼窩皮質に活動が見られた。したがって、物語理解において主人公の活動性を表象する際には、自身の運動表象に基づいていることがわかった。
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Cognition & Emotion 23
ページ: 135-151
Educational Technology Research 31
ページ: 173-183
http://www.nips.ac.jp/fmritms/member/komeda/index.html