研究概要 |
NDH複合体のサブユニット構成を明らかとするため、bioinformatics解析とPAMクロロフィル蛍光解析で選抜したNDH活性欠損変異株8ラインについて、実際にNDH複合体の新規サブユニットであるかどうかを検討した。 まず、変異株すべてでNDH複合体の蓄積量の顕著な減少が認められた。T-DNAの挿入位置は全て予想通りであり、その挿入によって当該遺伝子の発現は顕著に減少しているか、もしくは全く検出できなかった。さらに、6ラインにおいては当該遺伝子の入れ戻し実験によってNDH活性の回復が認められた(残りの2ラインは未確認)。これらの結果から、それら変異株におけるNDH活性の欠損の理由は、T-DNAの挿入による当該遺伝子の機能破壊の結果、NDH複合体が安定に存在できなくなったためであると考えられた。 次に、ndf1,ndf2,ndf4と名付けた変異株の原因遺伝子がコードするタンパク質について特異的抗体の作成を試み、NDF1,NDF2に対する特異的抗体の作成に成功した。NDF4については抗体の特異性が低いため、NDF4タンパク質のC末端にFLAGタグを付加した組換えNDF4をndf4変異株に導入した形質転換体を作成した結果、NDH活性およびNDHの蓄積量の回復が認められた。ここからは、これら抗体および形質転換体を用いて生化学的な解析を進める事とした。 Blue-NativePAGEの結果から、NDF1,NDF2,NDF4タンパク質はNDH複合体と共に巨大な複合体を形成していることが明らかとなった。この結果はNDF1,NDF2,NDF4タンパク質がNDH複合体に含まれているか、少なくとも相互作用している事を強く示唆しており、現在は、その複合体に含まれる構成成分についてさらに解析を進めているところである。
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