本研究の目的は、会社成立によって変わりつつある目の会社に関して、人的会社における機関設計の自由がどこまで可能かという点を模索することにある。このことの比較法としては、主にドイツを中心として研究を進めた。人的会社といっても、日本の会社法における人的会社の定義とは必ずしも一致するものではなく、内実が人的であれば、有限会社や協同組合あるいは民法上の社団なども議論の中心に置いた。具体的な方法としては、ドイツのミュンヘン大学で教授資格論文が採用されたFelix Heyの当該論文を核にして、彼の主張内容に呼応する形で議論を展開した。機関設計の限界点としては、大きく分けて、強行法による制限、自己決定権という固有の権利による制限、定款の内容規整による制限、権利行使の規制の4つに分類される。それをさらに細分化し、例えば強行法に関しては、公序良俗による違反や、不文律による違反について、Hey以外の学説および連邦最高裁の判例を多数収集し、逐一翻訳・整埋していき、その変遷を追って、現在ドイツではどのような主張が有力であり、実務はどうなっているかということを明らかにした。そのため、以上の検討を日本にとってどのように応用していくかについて十分な準備が整った状態であり、次年度の日本法に関する研究に備えている。もっとも、従来、この分野に関しては、日本法における研究は少なく、近時の会社法改正にかかわらず重要な問題であり、本研究の意義はその点にある。
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