本研究は、平成17年会社法成立によって大きな変革時期を迎えた日本の会社に関して、人的会社における機関設計の自由がどこまで可能かという点を、主にドイツ法と比較し検討することを主眼に置く。従来、日本では、人的会社と物的会社に二分して議論が進められていたが、まずは、その二分法が正しいかということについて議論を進め、結果的に、その内容が人的会社に匹敵するような小規模会社をすべて対象とした。機関設計を妨げるものとしては、強行法による制限が考えられる。ドイツでは、一部の会社法は、その条項が強行的であるか任意法であるかを明言したものがあるが、日本ではそうではない。その他、強行法としては、公序良俗違反や、不文律的なものも含まれる。また、ドイツで近年興味を引いている論理として、内容規制(Inhaltskontrolle)という概念がある。これは、もともと消費者契約に使われる用語であり、それを応用したものである。具体的には、契約(会社の場合は定款など)が、一方的に不利益を及ぼすような不当なものである場合には、裁判所が、その契約の内容を変更できるというものである。これは、70年代の判例によって初めて登場した。対照的に、それを批判する学説は、契約内容の変更は契約自由の原則に違反するとして、不当な結論に至る場合には定款にある権利の行使を規制せよという主張をしている。内容規制同様に、この規制は、裁判所によるものであるとする。このような法解釈が日本では許されるのかという問題を明らかにしている。
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