研究課題
本年度の研究実施は大きく分けて三種の作業を軸としたものであった。まず、(1)ヨーロッパ各国の国立図書館・専門図書館を中心とした1次資料調査の実行については、今年度も現地におけるフィールドワークを実行した。フランス国立図書館とアンリ・ポアンカレ研究所におもむき、資料収集に努めた。なかでも重要なのは18世紀後半の弾道学関連の著作の入手である。貴重書そのものとマイクロフィルムの撮影が許可されたので、これらの直接的入手が可能になった。つづいて、(2)これらのデータのデジタル化と目録作成も継続した。データベース作成については、最新のグラフィック処理が可能なインテルcore i7 CPUを中核にしたハードウェア環境を独自開発し、デジタルデータの高速処理・収納を可能にした。最後に、(3)学会参加等に関しては、国際的なものも含め計6件ほど行っている。そのなかでも名古屋工業大学でのシンポジウムであり、フランスの物理学史家である、プロヴォスト博士との議論は研究進展のためにきわめて有益であった。またこれとは別に、所属する大阪大学を基盤にした新規の科学史・思想史関係の研究会「大阪科学思想史研究会」を自ら発起人として立ち上げ、今年度だけですでに6回の例会を開いた。これらの学会で討論された内容は、論文や教科書の形式ですでに発表もしくは来年度初頭にはされることになっている。なお、この研究会には哲学者や文学者など異分野の専門家も加わり、当初の学際的目的が果たされている。
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京都大学数理解析研究所講究録『数学史の研究』 1625
ページ: 108-119
哲学の眺望(共同執筆, 古代および近現代の数学史についての章担当)(京都・晃洋書房) (掲載確定)
明治図書『数学教育』 8月号
ページ: 83-87
青土社『現代思想』 11月号
ページ: 109-119