一変数函数論におけるRungeの近似定理の四次元ゲージ理論での類似を定式化し証明し、その応用を研究した。また、擬正則曲線における類似も定式化し証明の概略を完成した。 函数論でのRungeの近似定理とは、複素平面の領域上の有理型函数が、定義域をコンパクト部分集合に制限すれば、有理関数でいくらでも近似できるという定理だった。さて、有理関数とはRiemann球面上の有理型函数のことで、有理型関数とはRiemam球面への正則写像のことである。よって、Rungeの近似定理は、Riemam球面の領域からRiemann球面への正則写像は、定義域をコンパクト部分集合に制限すれば、Riemann球面全体からRiemann球面への正則写像でいくらでも近似できると言い換えられる。これのゲージ理論での類似とは、四次元閉多様体の開部分集合上の反自己双対接続は元々の四次元閉多様体上の反自己双対接続でいくらでも近似できるという定理である。これは四次元閉多様体が四次元球面のときにはS.K.Donaldsonにより示されていた。一般の四次元閉多様体ではAtiyah-Hitchin-Singer複体の二次元部分が自明とは限らないのでlDonaldsonの証明手法を一般の四次元閉多様体に適用するのは難しいが、研究代表者はKuranishi-Taubesによる手法を発展させてその困難を克服した。
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