研究課題
申請者はダイアンソウイルス属レッドクローバーネクロティックモザイクウイルス(RCNMV)が持つ特殊な翻訳機構と遺伝子発現制御メカニズムを研究することにより、植物RNAウイルスの時空間的遺伝子発現制御機構の解明を目的としている。平成19年度の成果は以下の4つである。(1)これまで研究を続けていた「RCNMV RNA1における翻訳及び複製に必要なRNA因子の解析」をまとめ、雑誌Virologyに投稿したこと。(2)試験管内ウイルス複製系を用いることによって、RCNMV RNA1は自らが作り出した複製酵素成分しか複製に用いることが出来ないことを証明したこと。(3)RCNMV RNA1から生成される低分子量RNAは、RNA1上に存在するRNA因子がRNA分解酵素から3´末端側の配列を守ることによってできた分解中間体であり、試験管内及び生体内においてRCNMV RNA1の翻訳と宿主mRNAの翻訳を抑制する機能があることを明らかとしたこと(4)ストレプトタグアフィニティー精製法を用いて、RNA1の3´UTR及び3'TE-DR1に変異を持つ3´UTRに結合する宿主タンパク質を精製し、電気泳動後、銀染色すると宿主因子と思われる幾つかの特異的なバンドを検出できたこと。以上の結果はダイアンソウイルスの複製機構解明につながり、これまで知られていなかった低分子RNAによるウイルス遺伝子発現制御機構の存在を示唆するものである。
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Virology (印刷中)
Virology 369
ページ: 168-181